環境パートナーシップエコサロン

「自然エネルギープロジェクト」
平成13年10月19日

10月19日第三回目のエコサロン、今回は日経記者で市民エネルギー研究所に所属している井田均さん。井田さんは長年自然エネルギーの研究をされてきたが、最近の世界の状況変化はものすごいという。今回はご自身が旅された世界各地のソフトエネルギー発電現場をたくさんのスライドを使って紹介された。
キリバス・インドネシアの太陽光発電
世界には電気の来ていない人口が約20億と言われている。離島や山間では太陽光発電や小規模水力などが有利であり、増えつつある。
インドネシアの電気の来ていない島に、日本のメーカーが原子力発電で進出しようという試みがあった。そこで日本のNGOが太陽光発電を提案した。車で1時間、バスで2時間、歩いて1時間の村に、井田さんは太陽光パネルとバッテリーをもって訪れた。取り付けたのは木工業の人の家で、日中に貯められた電力は、夜の仕事場を明るく照らしていた。
世界で一番日の出のはやい国=キリバス共和国は南太平洋に浮ぶ珊瑚礁の国。一番高いところでも海上から3.5mの高さしかないため、地球温暖化で国がなくなる危険性がある。そこで、未電化で灯油ランプの生活であった北タラワ島では、日本や欧州の援助を得て、二酸化炭素を出さない太陽光発電による電化が進められている。住民にも、明かりが増えたにもかかわらず油代は減った、夜遅くまで勉強をしたりマットを編めるようになった等と評判がよい。
欧州の風力発電
いま、世界で飛躍的に増えているのが風力発電である。増加が技術革新を促し、単価を引下げている。特にスペインでの風力発電の増加が著しい。尾根筋を走ると至るところで道路脇や近くの山に何百基と立並ぶ様は圧巻である。スペインの風力発電の設備容量は153万KW。一位のドイツは611万KW。日本は2000年1月末で約7万KW。早くから電力会社による電気の買い取り制度を整え、送電線などの補助、あるいは電力会社そのものが風力発電に取組むなど、欧州では積極的に風力発電を支援している。
陸上に適地がない場合には洋上(オフショア)風力発電が設置される。洋上風力発電は防腐用の塗装、防水加工などの手間がかかるが、@風速が強いA乱気流が少ないB高空でなくても風が強いC風速時間の変動が少ない、等のメリットもある。干潟に建てる場合、土台は漁礁になり魚が集まってくるという。
デンマーク・コペンハーゲンの人魚像がある港の沖に建設中の風力発電は、タワーの高さ60m、大型風車は76mにもなる。この風力発電はなんと1kW時あたり5.6円。日本で稼動率80%130万kWの原子力発電が5.9円であるから、コスト的にソフトエネルギーが原子力と対等の位置にまで来ているといえる。
またデンマークでは、農民が資金を出し合って風車を建設し、発電した電力を売って農業収入に匹敵する買電収入を得ている。日本でもそろそろこの辺で、地域住民が自分達で風車を建設・運営するような時代が来てもいいのでは、と井田さんはおっしゃった。
中国最大の達坂城(ダーバンジョン)風力発電
中国の電力供給は、石炭による火力発電が主流なため大気汚染が懸念されるところから、ドイツなどの援助を得て風力発電も進めている。ウィグル地区ダーバン市郊外の砂漠の中に中国最大の達坂城ウインドファームがあり、隣接するウィンドファームと合わて約7万kW、その時点で日本全体の2倍以上の能力である。ダーバンジョンには初の国産風力発電設備もある。風力発電の場合送電線のコストがネックであるが、ここの送電線は、もともとあったので、コストを削減できたという。
世界一安いアイスランドの電力
アイスランド
は地熱と水力の国である。地域暖房の9割を地熱でまかない、豊富な水量で水力発電を行っている。アイスランドでは1kW時1.26円、一般家庭では4.0円、大口産業用は1.78円である。東京電力の住民電灯用が1kW時あたり24.8円、産業用大口電力で13.03円、それと比べると10倍も安い。その安さを利用し、海底ケーブルで他国スコットランド、オランダ、ドイツに電力を輸出している。それでもコストは一割しか余分にかからない。更に大規模なダム建設で、もっと多くの電力を輸出する計画があるようだが、ダムの建設による水の流れが変ることや生態系への影響が心配される。
日本の風力発電
現在、日本のソフトエネルギーは、電力会社の"好意"により買い上げられている状況で、風力などでは買電価格が切下げられ、事業者の参入意欲をそいでいる。地球温暖化がすすみ、化石エネルギーからの転換が求められる中、原子力は放射性廃棄物や事故の恐ろしさもあって、住民の合意が得られにくい。ソフトエネルギーは、これからの時代に必要とされている"自然の摂理にかなった"手法のひとつである。國は、自然エネルギーの促進を図るために、買い上げ価格を決める、産業界と市民団体との間に客観的な協約を定めるなどの積極的に推進して欲しいものである。
参考資料「こうして増やせ!自然エネルギー」: [井田均著 公人社発行]

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