「ニュースタートを支援する人間ネットワーク」
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| 若者の引きこもりが増えている。その背景には豊かな社会と高齢化社会があり、 働かなくても生きてゆける状況の中で何のために働くのか、わからなくなっている。
一見環境問題と無関係なところにある若者の引きこもりだが、豊かな社会の裏側にある
環境問題への苛立ちとも繋がる。 今回のエコサロンは、浦安市に事務所を持って不登校の生徒や引きこもりの若者の 「新たな出発(ニュースタート)」を支援するNPO法人ニュースタート事務局代表の 二神能基さん。すべての人間を障害者として理解し、それぞれ違った障害を開かれた 家庭で支えあうことを目指している。 |
| 「ニュースタートプロジェクト」のはじまり きっかけは約10年前、イタリアで4軒が家族を開きあって農場を共同経営している ドキュメンタリー番組をみたことであった。そこでは子供を育てるには二人の親では 絶対に足りない、家族を開いていろんな人の力を借りないと子供を大人に育てられない との主張があった。当時、日本でも大人になりきれない若者が増えはじめ、 社会問題化していた。そこで、そのイタリアの農場に日本の若者を送り込んで 彼らの新しいスタートを支援しようとニュースタートプロジェクトを発足させた。 イタリアには、精神病院、盲学校などの特殊学校、さらには老人ホームなどがなく、 いろんな障害を持った人たちが社会の中で支えあっていくということが 自然に認められている。 それ以降、家族を開くことと、すべての人間は障害者であり、支えあう必要がある ということを基本的な主張としていろいろな活動を展開させている。 |
| 引きこもり増加の背景 引きこもりの定義を、「半年以上、家族以外と人間関係をもたない」とすると、 この10年で急増し、最近では全国で100万人といわれている。この背景には 卒業→就職という若者を大人にする定型が崩壊し、新卒者の就職率は50%まで低下し、 中途退職者も増えている。定職の概念はもはや現代の若者には無くなったことがある。 豊かな社会になってお金のために働くという動機がなくなり、高齢化社会では 両親が元気で、いつまでも息子、娘であるという状況では自立して働く動機が 迫ってこない。 このような世の中では、若いときに1年ぐらい引きこもって自分をしっかり 見つめるということはむしろ有益な時間といえるが、長くなると袋小路に自分を 追い詰めることにもなりかねない。やはりタイミングを見て社会に出て行けるような 後押しが必要だ。 |
| 引きこもりを取り巻く状況 引きこもりは豊かな社会での甘えと捉えられたり、精神科の治療の対象にもなっている。
もちろんうつ病や分裂病などの病気の場合もあるが、最近急増している引きこもりは 個人の病気ではなく、現代日本特有の社会病理なのである。精神安定剤等の多用が
ますますやる気をそいでいるということもある。 彼らは「自分の未来が見えない」から不安なのだ。働くことについて、 お金のためでなく、社会での役立ち願望が強い。願望と現実の社会とのギャップの中で、 決断できないのである。 この中で、学校と社会をつなぐ装置、学校に代わる学びの場が必要なのではないかと 思い、いろいろ実験しているのがニュースタートのこころみといえる。 |
| 「ニュースタートの3点セット」 ニュースタート事務局には、多くの引きこもりの子供を持つ親御さんから 問い合わせが来るが、なかなか本人が出てこない。それならば出てくるまで 付き合おうと同世代のレンタルお姉さん、お兄さんの訪問活動が始まった。 最初は訪問拒否が大半だが、定期的に訪ねれば、半年ほどでほとんどの若者に 会えるという。 次は親と離れた場所で他人とのかかわりが作れる場所として、「若衆宿」という 若者の共同生活の場を1999年から浦安、市川、船橋市に7か所つくり、 若者が共同生活の中で人間関係を学んでいる。 次に、いろいろな仕事を体験できる「仕事体験塾」。ホームヘルパー養成講座を開き、 高齢者のデイサービスと託児所、何でもお手伝い屋を一緒にした「福祉コンビニ」、 「喫茶・縁側」、「普段料理・マンマ」IT事業部「タウン・タウン」なども作った。 いずれも引きこもりの青年だけでなく、いろいろな人間が集まり、 助け合うようにしている。彼らはまた、環境問題にも関心が高く、 印旛沼野菜いかだの会に参加しているほか、環境関連の起業を模索しているが なかなか難しいようだ。 世の中では能率重視の仕事が殆どであるのに対して、船橋のニュースタートで経験を 積んだ若者は,能率をあまり考えず、スローペースなのが、却ってサービスを受ける側には 快適で評判がよい。お金のために働いてきた私たちと違って、「引きこもりの青年たち」は 働くことの意味を考え始めた品性豊かな若者たちで、彼らが起業する多様な「働きの場」を 私たち親の世代も資金や人脈で応援していきたい。彼等のお陰で、21世紀はスローで 心豊かに生きられそうだと実感している。 |
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