環境パートナーシップエコサロン
| 私は、昨年10月8日から16日までの9日間、日中科学技術交流協会の中国環境調査をお手伝いするかたちで、北京市と山東省の青島市を訪れました。北京市では、日中国交正常化30周年記念事業の一つである科学交流事業記念環境シンポジウム「循環型社会の創造をめざして」に参加すること、青島市では、工場や都市環境を視察し、排水や廃棄物の実情を調査するとともに今後の交流を深めていくことが目的でした。 調査団員は、日中科学技術交流協会の副会長・鈴木伸千葉大名誉教授を団長に、早野東大名誉教授(北京)、立本千葉大教授、袖澤助教授、横山寛日中科学技術文化センター参与と私でした。北京でのシンポジウム参加者は、日本からの学者、民間会社の環境研究者約60名と中国側参加者を含め約150名でした。 |
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| シンポジウムは2日間で、会場は日本の援助により建設された「日中友好環境保護中心」でした。1日目が全体会議、2日目が大気、水質、廃棄物に分かれての分科会で、私は北京空港に降り立った際に、スモッグによる大気汚染ではないかと感じ取り、「循環型社会と大気汚染」に出席しました。各研究者の発表は、中国側は総論や考え方が中心で、日本側は具体的な発表が主でした。中国では今後の社会の発展には循環型経済社会が必要不可欠との認識であり、この実現には、雇用を守りながら進めるという考え方でした。特に、資源エネルギーの使用効率の向上が焦眉の課題と受け止めました。大気環境分科会では、11名中、日本側発表者が9名で、この分野の日本の技術の進歩を強く感じさせられました。特に、中国の問題点である石炭燃焼に伴うSOxによる農地等の土壌劣化や、複合原因とされる砂漠化の進行防止のため、日本の多くの学者、研究者が、より安く、より効率のよい石炭燃焼に伴うSOxを除去する循環型の技術を中国と協力して開発、実証実験を行っていることを知り、私は、日本で忘れかけているSOx問題の大切さを痛感し、将来のエネルギー問題を考えると、日本でも、これらの技術を中国から逆導入しなければならない時代が来るのではと、多いに感銘を覚えました。石炭からの直接脱硫する技術、石炭燃焼時に脱硫する技術、排煙脱硫とその後に排出される石膏を劣化農地の改良剤として使用する実験など、です。これらの技術が全て、家庭から工場までを対象とし、しかも、焼却灰や副産物を中国での大きな環境問題であります土壌のアルカリ化、酸性化、砂漠化防止に循環使用することを含めて技術開発していることが特長です。 その他、北京市内を散策した印象を列記いたしますと、 @オリンピックの準備とみられますが市内各所で、古い建物を壊し、新しい高層ビルを建設している A職を求めていると思われる人々が、夜も建設現場前に集っている B貧困者の姿などです。 でも、生きる力強さは大いに見習うべきことと思います。 翌日(土)は、中国の名門清華大学を訪れました。この大学は、清の時代の皇帝の「清華園」という広大な庭園に、昔の建物を残して建てられ、当時はアメリカ留学の予備校であったという歴史の長い伝統校とのことです。緑が多く、故宮の門を小さくしたような"長屋門"が連なり、すばらしい学園環境です。3E学院(エネルギー、環境、経済学部)の先生方と大学教育の方針、産学官の協力のあり方、廃棄物の問題等について懇談し、交流を深めました。日本の家電リサイクルについて、今年初旬に訪日視察団を計画しているそうです。最後に東京大学と共同開発中の脱硫プラントを見学しました。 日曜日は、国内航空で北京から青島市へ移動。窓からみた北京はやはりスモッグでした。青島では、市環境保護局の職員の案内で、2日間にかけ、最新の石炭火力発電所、焼却灰を利用するレンガ工場、松下電子部品工場、青島ビール工場、ハイアー家電会社などの工場と、青島高級専門家協会、浄化槽処理水を構内緑地に散水利用している住宅団地、老子を教祖とする寺院がある海岸景勝地、海水浴場などの都市環境を視察しました。新しい開放区にあるこれらの工場に問題はありませんが、移動中に旧臨海工業地帯の周辺に産業廃棄物の大量な堆積場を散見し、風光明媚な青島市にも負の遺産をかかえ大変だなとの印象を持ちました。 中国は、ここ数年、改革開放のもと、市場経済導入と2008年北京オリンピックに向けて、年率約7%というすさまじい経済成長を続けております。その一方で、日本が今までに経験してきた多くの環境問題(大気、水質、廃棄物など)や社会問題(貧富の格差、都市と農村の地域格差など)に加えて、日本は経験したことのない砂漠化、水不足(黄河断流といって海まで水が流れない日が多くある)農地土壌の劣化(アルカリ化など)の大きな課題を同時にかかえています。 中国は、これらの問題に対し、社会の安定と経済発展を基礎に対応しようと努力していると私は感じとりました。これらの問題は、隣国日本とも密接に関係しており、環境面から出来る範囲で、ボランティア精神で協力したいと思っております。帰路の機中から、去る大陸を眺めながら、広大な日本海の海原のかなたに、日本という文明の発達した島国、ひきこもりなど生きる力の弱い若者世代を多くかかえる島国があろうとは、一瞬不思議な感をいだきます。大陸からみている方々の気持ちがわかるような気がします。 |
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